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高松高等裁判所 昭和44年(行コ)9号 判決

香川県丸亀市富屋町六四番地

控訴人

香川金融株式会社

右代表者代表取締役

西本勝太郎

右訴訟代理人弁護士

阿河準一

被控訴人

右代表者法務大臣

小林武治

右指定代理人

片山那宏

河村幸登

多羽本岩雄

櫛部房之助

山田俊行

矢野訓敏

民谷勲

右当事者間の租税債務不存在確認請求控訴事件につき、当裁判所は次の通り判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取消す。控訴人の昭和三二年四月一日から同三三年三月三一日に至る事業年度の法人税額四五万九五二〇円、同年四月一日から同三四年三月三一日に至る事業年度の同税額一六四万二、〇六〇円及び同年四月一日から同三五年三月三一日に至る事業年度の同税額一二四万四、四五〇円の各債務は存在しないことを確認する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用、認否は、控訴代理人に於て控訴会社が昭和三三事業年度の法人税一六四万二、〇六〇円、同三四事業年度の法人税一一八万二、〇〇〇円及び同三二事業年度の法人税中二五万四、二六〇円何れも納入済であることは争わないと述べ、当審における控訴会社代表者本人の供述を援用したほかは、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。

理由

一  当裁判所の事実認定並びに判断は、原判決理由二2を次の通り訂正するほかは同判決理由中の説示と同一であるからこれを引用する。(但し原判決四丁裏五行目及び五丁裏九行目の各「弁論の全趣旨によれば」を削除し、四丁裏七行目から八行目にかけての、及び五丁裏一一行目の各「納入済であることが認められる。」とあるを「納入済であることは当事者間に争いはない。」と訂正する)当審に於ける控訴会社代表者本人の供述によるも以上の認定判断を左右するに足りない。

二  原判決理由二2の「昭和三四年事業年度の法人税」の項を次の通り訂正する。

控訴人は右事業年度の当初の更正決定に基づく法人税額一二四万四、四五〇円の不存在確認を求めているところ、成立に争いのない乙第一三号証と弁論の全趣旨とによると、丸亀税務署長は右更正決定をなした後の昭和三八年五月二七日付を以て同事業年度の控訴人の法人税額を一一八万二、〇〇〇円とする旨の再更正決定をなしたことが認められるから、当初の更正決定による法人税額中六万二、五〇〇円は再更正決定によつて消滅したものであり、従つてこの部分については最早その不存在確認の判決を求める利益は存しないものといわねばならない。次に右当初の更正決定に基づく租税債務中その余の一一八万二、〇〇〇円については右再更正決定によつて影響を受けないものと解されるところ、右一一八万二、〇〇〇円の法人税債務については概に控訴人に於てこれを納入したことは当事者間に争いはないのであるから、被控訴人に於て右租税債務が尚存在すると主張する等して控訴人の法律上の地位に不安を生ぜしめている事情もない本件に於ては、最早右租税債務の不存在確認の判決を求める利益も存しないものといわねばならない。

三  そうすると原判決は総て正当であつて本件控訴は理由がないので民訴法三八四条によつてこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法八九条、九五条を適用して主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 合田得太郎 裁判官 谷本益繁 裁判官 林義一)

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